写真:塩害によって錆びた建物

海に近い地域にお住まいの方にとって、塩害は日常的に生活に影響を与えています。
たとえば、洗濯物を長時間干しているとベタベタになったり、金属製品を屋外に放置しているとすぐに錆びてしまったりと、何かと不便なことが多いものです。

このような塩害による影響は、実は外壁塗装にも及んでいます。
外壁塗装は常に屋外の環境にさらされているものなので、目に見える影響がなくても潮風によって様々な不具合が起こる可能性があるのです。
ここでは、塩害が外壁塗装に与える悪影響とその対処法について紹介していきましょう。

目次

塩害とは?

塩分が含まれた潮風がもたらす、様々な被害のことを塩害といいます。
建物においては、塩分によって金属部分の腐食が進むことが代表例といえるでしょう。
他にも塩分が農作物を枯らしてしまうなど、建築物だけでなく潮風による被害全てが塩害にあたります。

塩害は、時間の経過と共にじわじわと被害が拡大していきます
金属を海水につけたからといって、一瞬で錆びることはないですよね。
これと同じように、塩害の症状が表面化するにはある程度の時間がかかります。

塩害に注意すべき立地

塩分を含む潮風は、あなたが思っている以上に広範囲に影響を及ぼします。
北海道の太平洋側では海から2km以内が、塩害地域の目安として考えておくとよいでしょう。
もちろん、風の強さや障害物の量によっては、より広範囲に塩害地域が広がることもあります。

また、台風などの強風の影響を受けた場合、普段塩害とは無縁の地域でも被害が発生するケースもあります。
2018年に発生した台風24号では、内陸部である埼玉県まで塩害が及んだという記録もあります。

このように、海の近くで暮らす方だけでなく、かなり広い範囲で塩害には注意が必要です。
特に、強風を伴う台風などが接近した直後は、最大限の警戒が必要になります。

外壁塗装における主な塩害

塩害を最小限に抑えるためには、具体的な被害内容を知っておく必要があるでしょう。
被害の内容がわからなければ、対策のしようがありませんからね。

外壁塗装においては、塩害で以下の2つの悪影響が考えられます。

金属部分のサビ

塩害と言われて、まず思いつくのが金属のサビでしょう。
一般的な金属は、塩分が付着したまま放置すると短期間でサビが発生してしまいます。
しかも少しでも錆びると、そこからサビが拡大してしまい、取り返しの付かない状態になる可能性も大きいです。

外壁にはサッシや手すりなど、意外と多くの金属部品が使われています。
これらの部品が錆びてしまえば、隙間が生じてそこから建物本体にまで腐食が進行してしまうことも考えられます。

また、金属系のサイディングを採用している場合、外壁全体が金属という状態になります。
もちろん金属サイディングには、錆びない用にメッキや塗装などの対策は施されていますが、塩分の影響を完全に防ぐことはできません。
外壁にサビが発生してしまえば、「建物の内部を守る」という外壁本来の役割を果たすことが難しくなります。

コンクリート外壁の腐食

外壁がコンクリートでできている場合、塩害により内部の鉄筋が腐食することが考えられます。
コンクリートは水分を弾かないので、雨が降ると表面に付着している塩分も同時に染み込んでいきます。
その結果、コンクリートの塩分濃度がどんどん上昇していってしまうのです。

通常、コンクリートにも塩分が含まれているので、多少の塩分では内部の鉄筋が腐食することはありません。
これは、セメントによりアルカリ性の状態に保たれているため、鉄筋が不導体皮膜で保護されているためです。
しかし、あまりに塩分濃度が高まりすぎてしまうと、鉄筋を保護している皮膜が破壊されてしまいます。
これにより、コンクリート内部の鉄筋が腐食してきてしまう
のです。

一度鉄筋が腐食すると、鉄筋が膨張するためコンクリートが割れてきてしまいます。
こうなるとひびに塩分が入り込みやすくなるので、腐食が一気に進む事態となってしまうのです。

塗装の劣化が激しい

塩分が外壁に付着したまま放置してしまうと、塗装の劣化が早く進行してしまいます。
塗装の劣化は紫外線だけでなく、汚れや雨など様々な要素が影響してきます。
潮風による塩分も、塗装の劣化を進める一つの要素となるのです。

塗装の寿命が短くなれば、それだけ外壁が傷んでしまうリスクが高まるということです。
劣化した塗膜では外壁を塩分から守ることができないため、建物自体を腐食させてしまうことにもなりかねません。

塗装の劣化を放置するとどうなる?

塗塗装が劣化して防護力を失ってしまうと、外壁材本体が直接塩分の影響を受けるようになります。
そうなると、外壁材が塩分により劣化していき、最終的には建物の骨格に悪影響を及ぼすことになるでしょう。
最悪の場合、建物の骨格が腐食してしまい、建て替えしか修理する手立てがなくなることも考えられます

特に塩害に注意が必要な地域では、塗装の劣化を放置することは命取りということができるでしょう。
塗装の劣化症状を見逃すことなく、適切なタイミングでメンテナンスを実施して、大切なマイホームを守っていかなければなりません。

塩害を防止するための対策とは?

塩害の懸念がある地域では、外壁塗装にもそれなりの対策を施す必要があります。
普通の家と同じように外壁塗装を実施したのでは、塩害から建物を守りきれないことも考えられるのです。

塩害が心配される地域では、以下の点に注意して外壁塗装を実施するようにしてください。

塩害に強い塗料を選択する

塩害による劣化を避けることは、現実的には難しいといえるでしょう。
そこで、耐久性の高い塗料を選択して塗装を長持ちさせるという対策が考えられます。
塗装が劣化しやすいなら、塗料を強化してしまおうというわけですね。

塩害対策となる耐久性の高い塗料としては、以下の3種類が考えられます。

フッ素塗料

フッ素塗料は、フッ化カルシウムという成分が原料となっている塗料です。
一般的なシリコン塗料よりも耐久性の高い塗料として、最近では徐々に普及しつつあります。

フッ素塗料は、身近な商品にもテフロンとして使われています
テフロン加工が施されたフライパンからもわかるように、汚れを弾いて寄せ付けない性質を持っています。
この性質により、塩分の付着を防ぎ塗膜の劣化を抑えてくれるというわけです。

またフッ素塗料は、シリコン塗料などと比べると緻密な塗膜を形成します。
塗膜が緻密になれば、その分塩分が付着しづらくなるので、その分塩害を防ぐことができるでしょう。

ピュアアクリル塗料

ピュアアクリル塗料は、アクリルの純度を極限にまで高めた塗料です。
アクリル塗料は質の低い塗料となっていますが、これはアクリルそのものの性能が低いというわけではありません。
実は、アクリル自体は耐候性が非常に高いので、不純物を取り除けば耐久性の高い塗料に変身するのです

ピュアアクリル塗料は、日本より紫外線が3~5倍も強いオーストラリアで生まれました。
日本より過酷な環境であるオーストラリアに建てられた家を守ることができる塗料なので、塩害からも建物を守ってくれること間違いなしです。

無機塗料

無機塗料は、セラミックやケイ素などの無機物が主原料となる塗料です。
無機物は石や砂のような材料となるので、塩分の影響を受けて腐食することがありません。
さらに、無機物は紫外線によって劣化することもないので、非常に高い耐久性を誇ります

加えて無機塗料は、雨水により自動的に汚れを落とす効果も持ち合わせています。
無機塗料を塗装した外壁の表面はガラスやタイルのような質感になるので、簡単な汚れは自動的に流れ落ちてくれるのです。
もちろん、付着した塩分も雨水により流れ落ちてくれます。

これらの塗料は、一般的なシリコン塗料に比べ高機能なため割高になります。
しかし、その分長持ちするので、長い目で考えればコストパフォーマンスは悪くありません。
外壁塗装の費用には、塗料代だけでなく足場代や人件費もかかるので、回数が多くなればそれだけ費用がかさんでしまうのです。

1年あたりで考えれば、高機能な塗料の方が割安になることもあります
決して損することはありませんので、採用を検討してみるのもいいかと思います。

塩害に強い外壁材を使う

現在、外壁材として最も一般的な窯業系サイディングボードは、セメントに繊維質を混ぜて作られています。
セメントは塩分により劣化していくので、塩害に強い外壁材とはいえません。
また、最近人気が高まっている金属系のサイディングボードも、錆びることを考えると塩害に強いとは考えにくいですね。

そこで採用したいのが、樹脂サイディングという外壁材です。
樹脂サイディングとは、塩化ビニルを主原料とする外壁材となっています。
塩化ビニルは、水道管に使われるほど丈夫な素材なので、塩害から建物を守ってくれるでしょう。

とは言え、塩害対策として外壁を取り替えるのは、コストの面からも難しいと考えられます。
もし、外壁材ごと取替えが必要なほど劣化が進んでいるか、これから家を建てようとしているようなら、樹脂サイディングの採用も視野に入れてみてください。

自分でできる塩害対策もある

塩害による影響が表面化するには、ある程度の時間を必要とします。
と言うことは、こまめにお手入れさえしていれば、塩害による影響を最小限に抑えることができるということです。

塩害を未然に防ぐには、単純なことですが外壁に付着した塩分を定期的に洗い流すことが最も効果的です。
塩害の原因を取り除いてしまえば、被害に合うこともありませんからね。
たったこれだけのことですが、塩害の被害を抑えることは十分可能なのです。

ただし、高圧洗浄機の使用に関しては、外壁を痛める危険があるのであまりオススメはできません。
塗膜の状態によっては塗装が剥がれる原因ともなるので、あくまで優しく塩分を除去してあげるように掃除してあげてください。

塩害が心配ならニシムラ塗装にご相談ください

塩害に強い外壁塗装を実現するには、その地域の特徴を熟知する優良業者に塗装工事を依頼する必要があるでしょう
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