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近年は、豪雨や地震などの災害が多く、壁の雨染みや雨漏りに悩まされている人も多いのではないでしょうか。
定期的な外壁塗装時に、防水工事も一緒に行うことで、雨漏りを未然に防ぐことができます。

住宅はメンテナンスをしっかりと行えば、建物の寿命を長く保つことができます。
費用はかかりますが、長期的に見れば大規模な修理・修繕費を抑えることができるでしょう。

ここでは、外壁塗装時に忘れてはいけない防水工事の箇所と、注意すべきポイントを紹介します。

目次

防水工事とは?

防水工事は、住宅のどのような箇所に必要となるのでしょう。

一般住宅の雨漏りと防水工事

雨漏りが発生すると、その原因箇所を突き止めるのは難しく、専門家に診断を頼まなければ、いくら修理しても雨漏りを繰り返すことになります。
雨漏りの修理を何度もしなくても済むように、定期的な外壁塗装時に、防水工事をしっかりとしておきましょう。

足場を組まなければ工事できない箇所も多いため、見積段階で、雨漏り防止に必要な工事項目が抜けていないか、事前に確認してください。
防水工事は作業内容が専門的で、熟練した職人技もいるため、適切な施工業者選びも大切です。

住宅で防水工事が必要な箇所

外壁塗装は、壁の表面に塗装塗膜を作って外壁を守ります。
しかし、住宅への雨水の浸入を防ぐには、表面的な塗装だけでは不十分です。
つなぎ目の防水が重要で、出窓やひさしと外壁のつなぎ目、窓枠のサッシの周囲の亀裂、サイディングボードの目地の劣化も、雨漏りの原因になります。

屋根では、形状の複雑な複合屋根の家は、接合部に亀裂ができやすく、樋(とい)などの板金の腐食から雨漏りすることもあります。
また、ベランダやバルコニー、風雨にさらされている廊下や階段、陸屋根の家の屋上なども防水工事が必要です。

シーリング(コーキング)補修工事

近年の一般住宅の壁は、工場で生産される壁板(サイディング)を貼り合わせる工法が主流となっています。
サイディングは、現地でボードを貼り合わせるだけの作業となります。
外壁ボードは既に工場生産されており、品質にばらつきがなく、施工期間も短期で、左官業のような特別な技術は不要です。

しかし、実際には雨水の侵入を防ぐために、貼り合わせるボードの隙間の目地を埋めるシーリングという作業が必要です。
外壁を雨水から守るには、シーリング部分も含めてメンテナンスしなければなりません。

住宅の構造とシーリング材

シーリング補修工事とは、サイディングの目地部分の劣化を補修する作業です。

シーリング材は粘着性の高い樹脂でできており、隙間をしっかりと埋めるため、サイディングの目地以外にも様々な箇所に使われています。
たとえば、外壁のひさしや窓枠の継ぎ目や、換気口の周囲や、屋根の棟板金・谷樋板金のつなぎ目にも使用されています。

住宅は、箱型の二階建てで、軒のある三角の切妻屋根の家が、最も雨漏りしにくいと言われています。
一方、出窓やベランダのある凹凸の多い設計や、起伏のある複合屋根の家は、雨漏りが発生しやすくなります。

これは、複雑な形の方がつなぎ目の多い家となり、つなぎ目の防水加工に使われているシーリング材が劣化するためです。

シーリングの果たす機能

シーリング材は粘着性の高い合成樹脂でできており、接合部分の隙間をしっかりとおおって防水処理します。

また、地震の揺れでかかる振動の負荷を、伸縮性のあるシーリング材で緩和することができます。
硬い釘で固定されているより、シーリング材でつなげられている方が、振動にも柔軟に対応できるのです。

シーリングの劣化で起こる不具合

シーリング材は粘着性・伸縮性に優れたゴム製の合成樹脂でできていますが、紫外線で劣化しやすいです。
高品質な外壁材の耐用年数がいくら長くても、その繋ぎとなるシーリング材は5〜7年で劣化します。
目地剤の合成樹脂が紫外線で劣化すると、痩せて隙間ができて雨水が侵入してきます。

また、樹脂成分が分解されて硬くもろくなり、ヒビ割れをおこして目地剤がはがれてしまうと、防水機能はどんどんと低下してゆきます。
つなぎ目は小さな箇所ですが、そこから雨水が侵入すると、外壁の内側に水分を溜め込み、建材が内側から腐って建物全体の劣化を早めます。

シーリング材・コーキング材とは

外壁塗装でシーリング補修は重要項目ですが、業者の見積もりでは、シーリングではなく「コーキング」という言葉がよく使われています。
「コーキング」と「シーリング」はどう違うのでしょうか?

実は、「シーリング」も「コーキング」も壁にできた隙間を埋めるペースト状のゴム剤で、同じものをいいます。
しかし、建設業界では昔から、Oリングなどの素材をシーリングと呼び、押出し機で絞り出して使うペースト状の樹脂をコーキングと呼んできました。
そのため、今でもコーキングと呼ぶ業者も多いのです。

外壁塗装において、「シーリング」と「コーキング」は同じものを指すため、見積もりで「コーキング補修」とあれば「シーリング補修」のことです。

シーリングとコーキング補修の価格差

「コーキング補修」と「シーリング補修」は同じ工事なので、どちらの表現でも価格は同じになります。

注意すべきは、「打ち増し工事」と「打ち替え工事」の違いです。
シーリング材は劣化がそこまで進行しておらず、痩せて量が減っているだけならば、上から追加で充填する「打ち増し工事」ですみます。
しかし、劣化が進みヒビ割れて剥離している場合は、古いシーリング材を取り除いて、最初からやり直す「打ち替え工事」が必要です。

業者によって費用は様々ですが、「打ち替え工事」の方が時間と手間がかかるため、価格は「打ち増し工事」の1.5〜2倍になります。

クラックの補修

一般住宅の外壁は、大きく分けて、工場で生産されるサイディングと、モルタルやコンクリートなどの塗り壁に分かれます。
サイディングの防水工事にシーリングの「打ち増し」「打ち替え」が必要なように、塗り壁では、ヒビ割れ補修のシーリング工事が必要です。

クラックの種類

モルタルなどの塗り壁の外壁では、クラックの種類として、微細な「ヘアークラック」と、亀裂が壁内部にまで達する「構造クラック」があります。

「ヘアークラック」とは、外壁の表面にできる幅0.3mm以下の髪の毛の太さほどの細いヒビ割れです。
塗装表面に生じる毛細血管のように微細なヒビ割れで、放置しておけば外壁に水分を取り込みやすくなり、カビや藻が発生する原因となります。
ヘアークラックは、定期的に外壁塗装をすることで、問題なく補修できます。

一方、幅0.3mm以上のヒビ割れは「構造クラック」と呼ばれます。
亀裂から雨水や湿気が入り込むため、シーリング材を使って補修する必要があります。

クラックの補修工事

ヒビ割れを補修するには、洗浄して、下地剤を塗ってから、シーリング剤を流し込みます。
シーリング剤が乾いたら、その上から仕上げ塗りをして完成です。

マンションのコンクリートの壁では、電動ディスクサンダーで、VカットやUカットの溝を作り、シーリング材をたっぷりと充填して修復します。
住宅の15~20ミリほどの厚みのモルタルの壁では、手作業で、モルタルを完全に切断してしまわないように、慎重に補正してから充填します。

クラックは放置しておくと、建物内部に雨水が溜まり大規模な補修工事が必要となるため、できるだけ早く補修することが必要です。

屋上・ベランダの防水工事

雨漏りの予防としては、壁のシーリング補修の他に、陸屋根の屋上・ベランダやバルコニー・外部の廊下や階段などの防水工事があります。
特に、屋上やベランダのヒビ割れは、深刻な雨漏りに発展し、建物全体の強度に影響するため、問題が見つかれば迅速に行うことが大切です。

屋上の防水工事の目安

防水工事をする目安としては、下記のような症状が挙げられます。

  • コンクリートにヒビ割れがある
  • 防水シートがはがれかけてきている
  • 最上階の部屋で雨漏りがする
  • ベランダや屋上の水はけが悪い
  • 土砂や粉塵がたまり、雨どいが詰まりかけている
  • 床面に溜まった泥から雑草が生えている

最上階の部屋で雨漏りが起きている場合は、雨水が既に屋根裏に溜まって腐食が始まっている可能性もあり、緊急の対応が必要です。
工事が遅れればそれだけ被害が広がり、結果的に修理費が高くなるので迅速な対応を心がけてください。

屋上・ベランダの防水工事の種類

屋上・ベランダの防水工事には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水があります。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂塗料を塗る「塗膜防水」です。
屋上の防水では、最も一般的な方法となります。

工事の内容は、ウレタン樹脂を塗り重ねて塗って防水層を作り、建物を雨から守ります。
低コストで工期が短いため、全国の陸屋根の屋上の半分近くが、ウレタン防水の工法を採用しています。

ウレタンは液体状なので、複雑な形状の屋根でも防水工事がしやすく、シート防水のような継ぎ目ができません。
劣化部分だけの一部塗りも可能で、重ね塗りで対応するため、古い防水層を取り除く費用と手間がかかりません。

しかし、耐用年数は10〜13年と長くありません。
また、ウレタンを均一の厚さに塗る職人技も必要で、施工業者によって仕上がりにばらつきが出ることもあります。

シート防水(塩化ビニール・合成ゴム)

シート防水は、塩化ビニールや合成ゴムでできた防水シートを貼る工法で、低コストで短期間に工事ができます。
合成ゴムシートは強度が弱いため、最近では塩化ビニールシートが主流になっています。

防水シートは伸縮性のある素材でできており、雨漏りの応急処置や陸屋根の部分防水工事に適しています。
一般住宅の陸屋根の屋上にも適した防水工事ですが、シートを貼る作業上、複雑な形の屋上には向いていません。

アスファルト防水

アスファルト防水は、アスファルトでコーティングした防水シートを貼り重ねて、厚い防水層を作る工法です。
施工方法には、防水シートのアスファルトを加熱して溶かしながら貼り付けるトーチ工法と、粘着剤で貼り付ける常温工法があります。

アスファルト防水は、耐用年数が長く、ビルやマンションの屋上に広く使われています。
しかし、アスファルト素材のシートに重量があるため、一般住宅ではあまり使用されていません。

FRP防水

FRP防水は、ガラス繊維でできた強化プラスチック(FRP:Fiberglass Reinforced Plastics)を使用し、耐久性の高い防水層を作る工法です。
ポリエステル樹脂やガラスマットを塗り重ねて、マンションのベランダなどで厚い防水層を作ります。

下地処理のプライマー、下塗り、中塗り、上塗り、仕上げのトップコートと、5層の防水層でしっかりと防水加工します。
ウレタン防水やシート防水より耐久性に優れていますが、手間のかかる工事で費用も高くなります。
硬質のガラス繊維でできており、地震の振動でヒビ割れしやすい点もあるため、定期的なメンテナスが必要です。

具体的な防水工事の内容

一般的な陸屋根の家の屋上に最もよく採用される、ウレタン防水工事の流れについて見てみましょう。

ウレタン防水工事の流れ

まず、高圧洗浄でカビ・ホコリなどの汚れを取り除き、コンクリートのつなぎ目にあたる「打継目地の補修」を行います。
コンクリートのつなぎ目部分の古い目地を取り除き、下地剤を塗ってからシーリング材を充填し、ヘラで表面を押さえます。
表面の凹凸がなくなるようモルタルで下地補修を行い、新たに「排水口」の器具を取り付け、防水工事の下準備を終えます。

防水工事では、まず、下地剤に接着性を高める「プライマー」を塗り、次に、「自着シート」を貼りつけます。
その後、コンクリートと防水層の間に発生する水蒸気を排気するため、ステンレス製の「脱気筒(だっきとう)」を取り付けます。
脱気筒とは、長年にわたりコンクリートに浸入した水分が、膨張して防水層を膨らませるのを防ぐために取り付けられる筒状の装置です。

十分乾燥させたのち、仕上げに「トップコート」を塗ります。

コーキング防水

コーキング防水とは、屋上のヒビ割れを、シーリング材を使って埋める作業です。
長持ちはしませんが、応急の防水処置に適しています。

屋上の周辺壁の立ち上がり部分や、ドレン周りにできたヒビ割れに、セメダインのようなシーリング剤を打って雨水の浸入を防ぎます。

コーキング防水は、屋上の雨漏りを防ぐために、低価格で有効な防水作業と言えます。
しかし、ヒビ割れを起こしている段階で、屋上塗装の劣化がかなり進んでいるため、早めの全面的な防水工事が必要となります。

防水工事もニシムラ塗装にお任せください!

住宅の防水機能を維持するには、定期的なメンテナンスが必須です。
一見丈夫そうに見える住宅の外壁も、セメント繊維系サイディングの場合は、樹脂塗料が劣化すため定期的な外壁塗装が必要です。
特に、サイディングボードのつなぎ目のシーリング材は、紫外線の影響を受けやすく、外壁の耐用年数を待たずに補修工事を行うことが重要でしょう。

また、屋上やベランダも、泥やチリが溜まって雑草が生えたり、排水口が詰まったり、塗装表面が膨れてはがれたり、ヒビ割れが起きたりします。
外壁塗装と一緒に、ベランダや屋上の防水工事もできるように、見積もり段階できちんと防水工事の必要な箇所が含まれているか確認することが大切です。

もし、外壁塗装のメンテナンスを検討しているのなら、私達ニシムラ塗装にご相談ください。
ニシムラ塗装は、外壁塗装だけでなくベランダや屋上の防水工事にも高い技術力を誇っています。
住宅の状態をきちんと診断したうえで、必要なメンテナンスをご提案いたしますので、まずはお気軽にご連絡ください。