
パラペットとは、建物の屋根や屋上の外周に立ち上がった低い壁のことです。主に雨水が直接外壁に流れるのを防ぐために設置したりするもので、その機能面や箱型のすっきりした外観などで一般的な住宅でも導入する家庭もあります。
パラペット屋根は防水性を高める一方で、雨水と汚れが一箇所に集まりやすく、しかもその場所が地上から見えないという特徴があります。つまり、放置してしまうと不具合に気づけないまま劣化症状が進行しやすく、逆に雨漏りの原因になってしまうこともあるのです。
そこで本記事ではパラペット屋根のメンテナンスについて、点検すべき部位・周期・費用・注意点をまとめて解説します。
パラペットとは

画像引用:外壁・屋根塗装工事 苫小牧市T様邸|施工事例
パラペットとは、建物の屋根や屋上の外周に立ち上がった低い壁のことで「手すり壁」や「胸壁」とも呼ばれます。バルコニーの腰壁も、広い意味ではパラペットの仲間といえるでしょう。
パラペット屋根の住宅といえばスッキリとした箱型の住宅のイメージなので屋根の形状は陸屋根(平らで傾斜のない屋根)と思われがちなのですが、実は決してそうとは限りません。
もちろん傾斜のない陸屋根のほとんどにはパラペットが設けられていますが、近年は、内側に緩やかな傾斜のある屋根(片流れ屋根など)を設けたうえで周囲をパラペットで囲い、外から見ると平らな箱型に見せるという住宅デザインが増えています。軒が出ないため、狭い土地でも建てやすく、モダンな外観になることから人気を集めているようです。
また、雪の多い地域では、屋根から雪を落とさない「無落雪屋根」の一種としてパラペットが採用されることもあります。中央に向けて緩く勾配をつけ、雪解け水をダクトから排水するタイプが代表的です。
パラペットを構成するものは大きく以下の3つです。
- 笠木:パラペットのてっぺんに帽子のようにかぶせてある仕上げ材。板金でできていることが多く「笠木板金」とも呼ばれる。雨水が壁の内部に入らないよう蓋をする役割があり、防水上重要となる部材。
- 内樋(箱樋):パラペットの内側、屋根との境目にある樋。一般的な住宅では雨樋が外壁の外側に付いているが、パラペット屋根では建物の内側に樋がある。
- 排水口(ドレン):内樋に集まった雨水を縦樋へ送り出す出口。詰まったときに水を逃がすオーバーフロー管が設けられていることもある。

画像引用:外壁・屋根塗装工事 むかわ町I様邸|施工事例
そして、陸屋根の床面や内樋まわりに防水処理を施し、防水層を形成します。防水工事にはウレタン防水、FRP防水、シート防水などいくつか種類があり、その表面をトップコートという塗膜で保護します。
パラペットを設置する理由
当然ですが、パラペットはデザインのためだけに付けるわけではありません。パラペットがない場合、屋根に降った雨は屋根に溜まった砂ぼこりを巻き込んだ泥水となって、そのまま外壁を伝って流れ落ちることになります。こうなると外壁やサッシは常に汚れた雨水にさらされるため劣化が早まってしまうのです。
そこで、パラペットで四方を囲うことで雨水をいったんせき止め、内樋と排水口を通すことで排水を制御できるようになり、外壁等の汚れや劣化を避けることができます。また、陸屋根で防水層をつくる際には端の部分に立ち上がりがなければ防水層を納めることができません。他にも、屋上からの転落を防ぐ壁として、また手すりを取り付ける土台としての役割も果たします。
このように、防水と排水の要として大切な構造であり、かつ屋上に立ち入る人の安全・安心を守る機能も果たしてくれるのがパラペットを設置する理由です。
パラペット屋根に細かなメンテナンスが欠かせない理由
パラペット屋根は、実は他と比べて細かなメンテナンスが必要な屋根です。パラペットに囲まれた屋根では、雨水も落ち葉も砂ぼこりもすべて内樋に流れ着くようになっています。内樋はほぼ平らなので、排水の流れが悪くなると水たまりができ、泥と落ち葉が底に張り付いて堆積します。
この状態が続くと、防水層の劣化が一気に早まり、板金であれば錆が進行します。なので、もし屋上に出れるのであれば、排水が滞りなく行われるように定期的な清掃などを行うことでパラペット屋根の機能維持ができるのですが、直接手入れできない場合は業者にメンテナンスを頼むサイクルは早くなるかもしれません。
どのような屋根でもいずれ不具合など発生してくるものですが、勾配のある屋根であれば、瓦のずれや棟板金の浮きといった不具合は地上から確認することも可能です。しかしパラペットの内側は、壁に隠れて地上からはまったく見えません。この構造によって不具合に気づきにくく、気づいたときにはすでに雨漏りが起きていたというケースが少なくありません。
雨漏り改修となると工事も大規模になりその分費用もかさみます。なので、より細かな点検やメンテナンスが必要となってくるのです。
雪国ならではの要因も
ニシムラ塗装のある北海道など雪の降る地域で押さえておくべきなのは冬から春先に起こる「すが漏れ」です。
屋根にある穴や隙間から雨水が侵入してくる雨漏りと違い、屋根に積もった雪が室内の熱で溶け、軒先で凍って「氷のダム」を作ることでその水がせき止められて溜まった水が屋根材や板金の継ぎ目からしみ込んでくる現象が「すが漏れ」です。
これは穴が空いていなくても起こるのが特徴で、発生しやすいのは気温が上下する真冬の一時期と、雪解けが進む春先です。いったん溶けた雪がシャーベット状になって排水口を塞ぐケースもあります。雨は降っていないのに天井にシミが出た、という場合はすが漏れを疑ってみる必要があります。
すが漏れのような雪害を防ぐために積雪地域では排水口周辺の凍結を防ぐため電熱線ヒーターが設置されていることもあります。ただヒーターにも寿命があり、断線していても外からは分かりません。安心のためにはまず落ち葉が落ち切った秋のうちに内樋と排水口の清掃を完了し雪が降る前に通電を確認しておくことが大事です。ゴミが溜まったまま雪の下に埋もれてしまうと、春まで手がつけられません。
加えて、凍結と融解を繰り返すことによる劣化の進みやすさも加味する必要があります。防水層のトップコートやシーリングなどは凍結と融解を繰り返す寒い環境では劣化が早く進みます。部材や目地に染み込んだ水分が凍って膨張し、内部から材料を壊していく「凍害」が起こるためです。
後ほどメンテナンス周期についても解説しますが、寒冷地では上記の環境的要因を考慮して少し早めに点検・手入れをするという意識を持っておくと安心です。
防水工事も塗装工事も、気温が低い状態や、施工面が濡れている・凍っている状態では施工できません。積雪地域で実質的に工事ができるのは春から秋までの期間に限られると思っておいて良いでしょう。
冬に不具合が起きても、その場でできるのは応急処置だけで、本格的な修理は雪解けを待つことになります。冬に困らないために、秋までに点検やメンテナンスを済ませておくことが大切です。
【部位別】パラペット屋根に必要なメンテナンス
パラペット屋根は場所によって見るべき場所が変わるので、部位別にどこをチェックし、どんな工事が必要なのか解説していきます。
笠木
パラペットで最も傷みやすく、そして雨漏りの原因になりやすいのが笠木です。笠木は一日じゅう雨風や日光の紫外線を真上から受け続けているからです。
金属製であれば錆による穴あきや強風によるめくれが起こります。また、笠木は長い部材をつなぎ合わせて設置するため、必ず継ぎ目ができます。この継ぎ目の目地部分や固定しているビス・釘の周辺は経年劣化で隙間が生まれやすい弱点です。
笠木の下地は多くの場合木材でできているため、笠木の隙間から入った雨水は下地の木材をゆっくりと腐らせていきます。築30年などかなりの築年数が経過して雨漏りが起きている住宅では、笠木を剥がしてみると下地がすでに腐食していた、というケースが珍しくないため定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスの方法は劣化の程度によって段階的に変わります。色あせ程度のみであれば塗装で対応できます。継ぎ目の隙間の劣化であればシーリング補修が必要となるでしょう。笠木自体が変形・破損していれば交換、そして下地まで腐っていれば下地の木材ごと交換したうえで防水シートを張り直し、笠木を新設することになります。
なお、下地が腐ったまま新しい笠木だけを取り付けても固定するビスが効かず、すぐに浮いたり剥がれたりしてしまいます。業者に相談する際には無駄な工事にならないよう下地までしっかり確認をしてもらうようにしましょう。
内樋
パラペットと屋根がぶつかる部分は「取り合い部」と呼ばれ、内樋が設けられています。ここが雨水とゴミの終着点であり、劣化が最も激しい部位のひとつです。
必要な手入れは、まず清掃です。落ち葉や泥を取り除き、水がスムーズに流れる状態を保つこと。これだけで防水層や板金の寿命は大きく変わります。そのうえで、板金が敷かれている場合は錆の予防塗装、あるいは錆や変形が進んでいる場合は板金の交換を行います。交換の際は、より耐久性の高いガルバリウム鋼板やステンレスなどを選べば、次のメンテナンスまでの期間を延ばせます。
排水口(ドレン)
排水口が詰まると、雨水は行き場を失って屋根に溜まります。パラペットは屋根を囲う壁なので溜まった水はプールのように滞留してしまいます。これは防水層にとって最も過酷な状態にあり避けるべき状況です。
内樋と同じく、排水口まわりはまず清掃が基本です。加えて、既存のドレンが錆びて劣化している場合には、既存の排水口に新しい部材を差し込む「改修用ドレン」という工法で更新することができます。ゴミが溜まりにくいカバーを取り付けるのも有効です。
防水層
防水層については、表面のトップコートを5年前後を目安に塗り替えるのが基本のサイクルです。トップコートは防水層そのものを紫外線から守る役割を持っており、これが劣化すると防水層本体のひび割れなどにつながります。トップコートの塗り替えは比較的安価に済むため、防水層本体を長持ちさせる意味でも費用対効果の高いメンテナンスです。
すでに防水層に浮きや剥がれ、膨れといった劣化症状が出ている場合は、トップコートの塗り替えだけでは足りません。部分補修で済むこともありますが、防水工事そのものをやり直す必要も出てくる可能性があります。
パラペットの壁
パラペットの壁部分は基本的にその建物の外壁と同じ素材で作られていることが多いです。つまり、メンテナンスの考え方については基本的に外壁と変わりありません。モルタルであればひび割れ、サイディングであれば割れや目地の劣化が起こり、そこから雨水が入り込むでしょう。
パラペット含む外壁材のセルフチェック項目をニシムラ塗装では以下のようにまとめています。

画像引用:外壁塗装・屋根塗装|ニシムラ塗装
これらの症状が見られたら外壁塗装やシーリングの打ち替えを検討する時期なので、参考にして確認してみてください。
本題とはそれますが、パラペット屋根の住宅には軒がほとんどないという共通点があります。軒は、外壁に雨や紫外線が直接当たるのを防ぐ傘のような役割を果たしていますが、それがないため外壁は雨風をまともに受けます。つまり、外壁も一般的な住宅よりも劣化が早い傾向があると考えておいたほうがよいでしょう。
メンテナンスサイクルと費用感
ここまで解説してきたメンテナンスについて、ある程度の目安となるサイクルと費用感についてまとめました。
メンテナンスサイクル

あくまで参考程度の値となります。状況によって時期は前後しますので、まずは年1回の清掃とチェックをしっかり行い、どこか異常を感じたら早めに相談しましょう。屋上に安全に立ち入れるのであれば自分で清掃しても良いですし、難しければ点検と清掃を業者に依頼しても良いでしょう。
特に台風や強風、大雨、地震のあとはサイクルにかかわらず臨時点検してもらうことをおすすめします。特に笠木は風にあおられて浮きやすく、被害が出やすい部位です。
費用感

費用の目安は次のとおりです。いずれも建物の規模や劣化状況によって幅がありますので、あくまで参考としてご覧ください。
防水工事で注意してほしいのが「足場代」の存在です。パラペットの笠木や防水の工事は高所作業になるため多くの場合で足場を組む必要があるのですが、この足場代が約20万円かかります。なので、例えば笠木の補修だけを単独で行った場合、工事費そのものよりも足場代のほうが高くつくことも珍しくありません。これは法外な請求というわけではなく、どの工事でも足場が必要であればかかる費用なので、そのようなものとして認識しておく必要があります。
そのため、笠木や防水のメンテナンスを外壁塗装のタイミングに合わせて一緒に行うと経済的です。足場を一度で済ませられるためトータルの費用を大きく抑えられます。点検の際には「今すぐ必要な工事」と「次の足場のときにまとめてよい工事」を切り分けて提案してもらうとよいでしょう。ニシムラ塗装の施工事例でも、外壁塗装のタイミングでパラペットの塗装も合わせて行っているものが少なくありません。

画像引用:外壁・屋根塗装工事 苫小牧市T様邸|施工事例
補足ですが、台風で笠木がめくれたり飛来物で破損したり、雪の重みで部材が壊れたといったケースでは、火災保険の風災・雪災補償の対象になる可能性があります。災害による被害であれば適用されることがありますので、災害による被害を受けた際は修理前の写真を残したうえで、加入している保険会社に確認してみてください。
こまめな手入れで雨漏りを防ごう
パラペット屋根は、こまめに手を入れれば長く安心して住める構造です。逆に、放置すると気づかないうちに下地が傷み、大きな工事が必要になってしまいます。なので、費用を抑えるためにも細かなメンテナンスを行うことをおすすめします。
年1回のセルフチェックと清掃、5年前後でのトップコート塗り替え、10年前後での塗装や修理という比較的分かりやすいメンテナンスサイクルなので覚えておくと良いでしょう。
「最後に点検したのがいつか思い出せない」「大雨や雪解けのあとに天井が気になった」という方は、被害が広がる前に一度業者に相談してみましょう。早い段階であれば、清掃と部分補修だけで済むことも少なくありません。見積もりや現地調査までは無料で行ってくれる業者も多いです。
苫小牧市・千歳市周辺エリアのご相談はニシムラ塗装へ!
ニシムラ塗装は苫小牧市・千歳市周辺エリアを中心とした地域密着型の外壁塗装・屋根塗装の会社です。相談はもちろん、お見積りと現地調査も無料で実施しております。外壁診断士が現場でしっかり診断を行い、診断結果に応じた適切な施工をご提案いたします。もちろん防水工事もご相談ください。詳しい流れは以下でも紹介しております。
塗装工事の流れ|ニシムラ塗装
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