写真:外壁

塗装会社に外壁塗装の依頼をすると、「吹き付け工法」を提案されることがあります。
また、複数の塗装会社から見積もりをとると、「手塗り」と「吹き付け」の工法の違いで、見積価格が異なることに気付くでしょう。

外壁塗装の施工方法で、「吹き付け」と「手塗り」では、どこがどのように異なるのでしょうか。
今回は、外壁塗装における吹き付け工法と手塗りの特徴、長所や短所、自宅の壁にあった施工方法を選ぶための判断の基準について説明します。

目次

外壁塗装の施工方法の種類

外壁塗装の目的は、住宅の壁材を塗装塗膜により紫外線や風雨から守るために行います。
外壁塗装の基本は3回塗りで、下塗りと中塗りをし、最後に上塗りをして仕上げます。

塗装の方法には大きく分けて「吹き付け」と「手塗り」があり、費用や工期、表面仕上げの種類が異なってきます。
また、塗装作業の細かな部分はハケを使った手作業で行われ、吹き付けやローラー塗りに「刷毛(ハケ)塗り」を併用して行います。

「吹き付け塗装」と「手塗り塗装」の違い

「吹き付け塗装」は、専用器具を用いて塗料を霧状にして吹き付ける塗装方法です。
一方、「手塗り塗装」は「ローラー塗装」とも呼ばれ、スポンジ状のローラーで塗料を塗りつける方法です。
以前は吹き付け塗装が一般的でしたが、近年ではローラー塗装が主流となっています。

しかし、住宅の外壁がモルタルの壁の場合は、今でも吹き付け工法が広く採用されています。
「吹き付け」と「手塗り」で工法は異なっても、適切に塗装されれば、塗膜の耐用年数などの塗料の性能には変わりはありません。

吹き付け塗装でできる外壁模様の種類

吹き付け工法では、手塗り工法ではできない種類の質感を外壁に施す塗装が可能です。
具体的に言うと、「リシン」「スタッコ」「玉吹き」などの模様を、外壁表面につけることができます。

吹き付け工法の場合、骨材といって「リシン」は細かな石を、「スタッコ」は砂状の大理石と石灰を、塗料に混ぜて吹き付けることで、表面をざらざらした模様に仕上げます。
「玉吹き」とは、吹きつけ後に、凹凸の立体感がきれいに出るように仕上げる工法で、塗装の耐久性も良くなると言われています。
模様をつける吹き付け塗装では、下地に粘着性の高いシーラーと呼ばれる下塗り塗料を使い、骨材の混ざった塗料を定着させます。

吹き付け塗装の特徴

塗装方法は、通常、施工業者が状況に応じて、「吹き付け工法」と「手塗り工法」のうち最適な物を提案してきます。
吹き付け工法を提案された場合に備えて、手塗りとの違いや吹き付け塗装の特徴や長所・短所を、理解して、判断基準としてください。

吹き付け塗装の方法と専用器具

吹き付け塗装は、専用器具を使って塗料を霧状にして外壁に吹き付ける方法です。
専用器具は「スプレーガン」と呼ばれ、噴出方法で「エアスプレーガン」と「エアレススプレーガン」に分かれます。

エアスプレーガンは圧縮した空気を使って、容器の塗料を微粒子化して噴出し外壁に塗布します。
一方、エアレススプレーガンは、塗料に直接圧力をかけて霧状に噴射させる方法で、近年の吹き付け塗装の主流となっています。
エアレスプレーガンには、塗料の供給方法で「重力式エアスプレーガン」「吸上式エアスプレーガン」「圧送式エアスプレーガン」という種類があります。

吹き付け塗装の長所

吹き付け塗装は、スプレーガンなどの専用器具を使用して広範囲に塗布するため、ローラーを使った手塗りよりも作業が早く進みます。
広範囲の塗装を短い時間で作業できるため工期が短くなり、その分工費も安くなるでしょう。

手塗りのように職人の熟練技が要求されないため、一般的にムラが少なく綺麗に仕上がります。
しかし、塗料を飛散させず厚い塗膜を均一に塗布するために、職人の技術が必要という点では手塗りと変わりません。

上塗りの仕上げ段階で、吹き付け方法により「リシン」「スタッコ」「玉吹き」などの模様を外壁につけます。
吹き付け工法を採用すれば、複雑な凹凸模様をつけることで、重厚感と高級感のある外壁に仕上げることができるでしょう。
近年の住宅塗装ではローラー塗りが主流ですが、大規模な建物の外壁塗装では吹き付け工法が広く使われています。

吹き付け塗装の短所

吹き付け塗装では、スプレーガンで吹き付ける際に塗料の多くが飛散してロスがでるため、塗料の使用量が手塗りよりも多くなります。
実際に外壁に付着する量が少なく、塗料の約20〜50%のロスがでると言われており、塗料の無駄が多いのが短所です。

また、吹き付け工法は風の影響を受けやすく、天候によっては作業できない状況も発生します。
さらに、飛散した塗料が車や外壁以外の場所に付着するリスクが高くなり、建物が密集している地域には不向きです。
そのため、手塗りよりもしっかりと植木や建具を養生でカバーする必要があり、準備に手間と時間がかかります。
住宅地など、塗料の飛散で起きるトラブルが気になる場合は、ローラー塗りの方が適しているといえるでしょう。

吹き付け工法には、凹凸の多い外壁において、くぼんだ部分まで塗料が行き渡りにくいという欠点もあります。
飛散しにくくするために塗料の希釈率を下げたり、耐用年数のある厚い塗膜を作るために重ね塗りをしたりするなどの工夫が必要です。

ローラー塗装の特徴

ローラー塗装は塗料の飛散が少ないため、塗料の使用量も無駄が少なく、現在主流となっている塗装方法です。
ローラー塗装が提案された場合に備えて、その長所と短所を理解しておきましょう。

ローラー塗装の長所

ローラー塗装の長所は、塗料の無駄が少なく、確実にしっかりとした塗装塗膜が作れることです。
ローラー塗装も飛散防止のためにシートで養生しますが、飛散のリスクは吹き付け塗装より少ないと言えます。
近隣住宅との距離が近い場合は、特にローラー工法が選ばれ、慣れた職人であればローラーでも短時間で仕上げることが可能です。

ローラー塗装は、塗装する箇所や建材によって様々なタイプのローラーが使われます。
外壁建材のサイディングの多様なデザインに合わせて、ローラーの毛足の長さを使い分けることで、凹凸のくぼみ部分までしっかりと塗ることが可能です。
手作業で確実に塗るため、しっかりとした厚い塗膜が形成できることもメリットでしょう。

ローラー塗装の短所

ローラーによる手塗りの場合、塗装に時間がかかることと、仕上がりが職人の腕前でばらつきがある点が短所となります。

全て手作業により塗装するため、吹き付け塗装よりも時間がかかり施工の期間も長くなります。
当然、人件費などの費用も高くなるでしょう。
また、吹き付け塗装の「リシン」「スタッコ」のような模様をつけることはできません。

「吹き付け」と「手塗り」工法を選択する判断基準

写真:外壁

外壁塗装を「吹き付け」と「手塗り」の、どちらですれば良いのか判断に迷う人も多いと思います。
一般に、手塗りの方が厚くきれいに塗れると思われがちですが、技術のある職人が正しく作業すれば、いずれの工法でも仕上がりに大きな差はありません。

業者は「吹き付け工法は仕上がりが均一で綺麗」とか「ローラー塗りは厚い塗膜で耐久性ある」などと得意とする工法をすすめてきます。
結局は、施工会社の得意とする工法や依頼者の予算、希望の外壁模様により塗装方法を決めることになります。
「吹き付け」と「手塗り」のどちらの工法を選ぶか、その判断の基準となる点についていくつか紹介します。

費用と環境

費用で選ぶならば、吹き付け塗装の方が手塗りよりも安い傾向にあります。
1平米あたり、リシンで1,000円前後、スコッタでも2,000円台が相場です。
手塗り工法は、業者や材料により価格差がありますが、3,000〜5,000円台と吹き付けよりも高くなるのが一般的です。

環境要因として、吹き付け工法は風の影響を受けて作業できなくなることがあるため、地域の風の影響や季節の天候なども判断材料となります。
また、密集した住宅地では吹き付け工法では塗料の飛散リスクが高いために、ローラー工法が採用されることが多いです。

どちらの方法が良いというのではなく、立地条件や季節、環境や外壁建材に応じて、適切な工法で塗装することをオススメします。

塗膜の厚みと基準塗布量

吹き付け工法でもローラー塗りでも、塗装の基本を守って行えば、耐久年数のあるしっかりとした塗装塗膜に仕上ります。
どちらの工法を選択するにしろ、塗料の希釈率と乾燥時間、基準塗布量を守ることが重要です。

塗装は、単に厚く塗れば良いというものではありません。
塗料の性能を発揮させるためには、メーカーが指定している適切な量を塗布しなければなりません。

塗料には単位面積あたりの「基準塗布量」が決められており、厚く塗りすぎると垂れを生じて、後にヒビ割れや剥離につながりします。
また、塗布量が少なすぎると、外壁を守る本来の塗料の機能を発揮できず、次に塗り替えが必要になるまでの塗装サイクルが短くなってしまうのです。

塗料の配合と職人の技術

耐久性の高い2液タイプの塗料の場合、硬化剤を配合して凝固するまでに塗るなど、職人の塗装技術や配合割合が出来栄えを左右します。
これはいずれの工法にもいえることで、信頼のおける施工業者を選ぶことがまずは重要です

技術のある職人が正しく塗装すれば、どちらの工法でも仕上がりは変わりません。
また、塗料の飛散などのトラブルが起きることもないでしょう。

信頼できる施工業者を選ぶには、見積もり段階での業者の見極めが大切です。
業者の下見が、5分ほどで終わる場合は不安が残ります。
下見で、下地処理が必要な補修箇所を写真に撮り、建物の細部まで時間をかけて調査してくれる業者は信頼できると言えます。

手塗り工法と吹き付け工法の塗装工程

実際の塗装では、手塗り工法と吹き付け工法は、作業工程で必要に応じて使われています。

外壁塗装の工程

一般的な塗装工程では、外壁の高圧洗浄をした後、窓枠などの必要箇所の養生をして飛散カバーを施します。
その後、下塗り・中塗り・上塗りと進めていきますが、下塗り塗料には、使用する上塗り塗料専用のシーラーを使用すると効果的です。

シーラーは、中塗りや上塗り塗料がのりやすくする接着剤の役割を果たし、重ね塗り塗料の密着性を高めます。
近年主流となっている窯業系サイディングの壁では、ローラーの毛の長さを変えたり、希釈度を調整したりしながら、凹凸部分をきれいに塗っていきます。

モルタル壁の吹き付け塗装

モルタル壁の場合は、ほとんどの場合吹き付け工法が選択されます。
養生後は、塗料に砂利や砂の「骨材」を混ぜた塗料を吹き付け、「リシン」や「スタッコ」といった質感のある壁に仕上げていきます。

スタッコよりもリシンの方が、ザラザラ感の少ないキメの細かな仕上がりになります。
さらにザラザラ感を抑えたい場合は、「玉吹き」または「ボンタイル仕上げ」と言って、凹凸に丸みを持たせて仕上げます。
「タイル仕上げ」とは、タイルを貼るのではなく、タイルガンと呼ばれる吹き付け器具を使い、表面の凹凸を押さえて仕上げる工法です。

クラックの補修と吹き付け作業

モルタルの壁はヒビ割れしやすく、塗装前にクラックを補修が必要です。
補修の際は、補修部分が目立たないように、部分的な吹き付け作業が必要になります。

クラックは雨水の侵入を許し外壁を内部から腐朽させるため、シーリング材で溝を埋める補修作業を実施します。
まず、古いコーキング剤を取り除き、奥までしっかりと埋めることのできるように、割れ目をV型にカットします。
次に、シーリング材が定着するよう密着力を高めるプライマーを下地に塗り、樹脂モルタルを補填して割れ目の溝を埋めます。
さらに、その上にスプレー工法で部分的に表面に凹凸をつけ、補修部分が目立たなくなるようにします。

すでに吹き付け塗装で仕上げてある外壁を補修する場合は、手塗りでも補修部分に吹き付け作業が必要となります。

吹き付けでの外壁塗装もニシムラ塗装にご相談ください

外壁塗装の工法には、「吹き付け」「ローラー塗り」「刷毛塗り」などの塗装方法があり、塗装箇所や建材により適切に使い分けなければなりません。
近年は、飛散リスクの少ないローラー塗りが主流ですが、吹き付け工法が必要なケースもあるでしょう。
どちらの工法も、職人の技術で仕上がりは大きく異なるため、信頼のおける塗装業者を選ぶことが大切です。

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